2話目。
前回から数日後の話になります。
って展開的にはあんまり進んでませんねー・・・。
まあ、どうぞです。
後日改変している可能性あり。
アーチェとリフィル先生が原作と何か違う性格になっちゃいないかと気をつけましたが、
どうだろう?別人じゃないかなー・・・?
(7月17日付)
ちょっと補足。
文章の途中で、リフィル先生・リオン・セネルがどーのこーの言ってますが、
このメンバーは私がウィダーシン戦に挑んだ時のメンバーです。
それだけです。では。
第2話:虚実
「ハーイ!仕事終わらせて来たわよ」
「ごくろうさま。依頼者への報告は済んでるかしら?」
「とーぜん♪後々まで残すと面倒そうだしね〜」
ギルドにアーチェが訪れた。魔術師という職業柄、彼女が一人で依頼を受けることは少ない。
一人でもこなすのが簡単な依頼だったのか、傭兵に協力してもらったのだろう。
蝕むモノ−ギルガリムの脅威が去って、復興作業自体にそれほど手間のかからなかったアイリリーでは未だアドリビトムは存続していた。ギルガリムの脅威が去ったところで、町の外には野生の魔物がいる等などの理由から結局、一般人が単体で外に出るのは危険であり、護衛の出来る人の協力が必要であった。そのため、護衛や一般人が外に出る用事を肩代わりするなどの役割をアドリビトムが負うことになった。
現在、アイリリーにはアドリビトムが5人残っている。リフィルさん、チェスター、アーチェ、リッド、僕だ。クラトスはロイド、ジーニアスを連れてガヴァダに向かった。
ガヴァダは慢性的な人材不足に悩まされいる。半年前の事の後、ルークとティアはいつのまにか居なくなってしまったそうだし、セネルも妹さんに会えたらしく元々住んでいた所に帰ってしまったらしい。加えて隣のドープルーンからは人手を貸すのが難しいとのことから、人材的に余裕のあるアイリリーから人を貸すことになった。
結果、不足気味な魔術師を一人、力のある人材を一人、加えて引率役として3人が向かった。引率役がリフィルじゃないのは、例の暴走癖が原因になっている。これが現在のアイリリーの状況。他に人手を貸せるのだからけっこうのんびりしたもんだ。
僕はそんな中、今だに受付裏の部屋の棚整理を続けている。先日1日だけでは終わらず、その後も延々と作業を続けていた。その作業の最中、気付けば紙による切り傷、不注意によってどこかにぶつけた小さな痣などが、手やら足やらにいつのまにか増えていた。後に残る傷の数々は、より僕の中へと”あの事”を刻もうとする。傷が初めにできてから度々、消してしまった想いへの追想をすることが多くなり、結果的に軽い怪我をすることも増えた。
どうして、気にしているのだろう?もう消えてしまったんだ。ウィダーシンはもういないんだ。だって・・・僕が消したから・・・。もう気にすること無い。消したから。
・・・消したらそこに何も無かったことになるの・・・?
在った。そこには彼の想いがあった。消して、簡単に無かったことにできないものが。
消したから終わりにはならない。いつかあの迸るようなウィダーシンの想いが、本能のような叫びが、僕の存在を、何の変哲も価値も無い想いを消しに来るイメージが走る。本当に気がするだけで何の確証も無いのだけど。
ぱしんっ
「痛い、アーチェ」
いつの間にかにアーチェがしゃがんでる僕の後ろに来ていた。なぜか両側から頬をはたかれた。
「どお?片付け、進んでる?」
「見ての通り。全然だよ」
「って、何か元々が相当酷かったんじゃないの〜?結構埃っぽいわねー・・・」
アーチェは部屋全体を眺め回す。
「良かったら手伝ってく?折角ホウキも持ってるんだし」
「遠慮しとくわ。第一あたしのホウキは掃除用じゃないからね〜。・・・ん?」
「どうしたの?」
アーチェはじっと僕の手を見ている。
「ちょっと!あんた、何よこれ!?」
「?何が?」
「リフィル!リフィル!ちょっと、来て〜」
受付台の傍で書類の記入作業をしていたリフィルさんがアーチェの騒がしい声に気付き、
こっちへ向かって来た。
「何です?騒々しい」
「ちょっと、大変なのよ!!ユセスの手!!」
「手?」
アーチェに無理やり手を引っ張られ、リフィルさんの前に差し出される。そうまでされてやっと自分でも気付いた。怪我は実に小さなものばかりと、それほど気にしていなかったのだが、右手の甲にいっぱいくらいの青タンができていた。そうでなくとも、両の手とも埋め尽くさんばかりの傷、傷、傷ばかりであった。
「これは・・・ファーストエイド!」
リフィルさんの治癒術だ。まさか、戦場じゃない場所で使われることになるとは思わなかった。
「・・・ユセス、もう今日は帰って休んでもらった方がいいわね」
「え?」
「本当の所、最近あなたがぼーっとして何かミスしたり、怪我したりしていることは知っていたのよ。何か考え事をしていたみたいだけど、これ以上何か大きな失敗をしてこれより大きな怪我をされても困るの。悩んでいることがあるなら聞いてあげたいのは山々なんだけど、私も仕事があってそれは難しいから、せめてあまり無理はしないでってことよ」
「ふーん、ユセス、何か悩んでるの?」
見抜かれていた。正直な所、この事は誰に言ってもしょうがないと思ったから誰にも言わなかった。
ウィダーシンを倒した場にリフィルさんも居た。けれど、彼女は必死にこの世界を守ろうと戦っていた。その想いはきっとウィダーシンに匹敵するか、あるいは上だったんじゃないだろうか。リオンもセネルもそうだ。リオンは失われた故郷の復讐のために。セネルは妹探しを続けるために世界の存続を望んで。皆には望みという想いがあった。想いなんかなかった僕とは違って。・・・第一自分でも下らないってわかってる悩みなんか人に話すだろうか。きっと話したところであしらわれる。それが分かってるから話さない。
「別に悩んでなんかないよ?きっとリフィルさんの勘違いだって」
「そう・・・?それならいいのだけど。でも今日は大事をとってもう帰ってもらいます!
青タンは治癒術をかけてもそうすぐには直ってくれませんから」
内出血であることから、治癒術の届きが外傷の場合より足りないのだろう。
これほど酷くなっていたとは思わなかったのでさすがに今回は了承しておいた。
「じゃ、帰らせてもらいます」
「気をつけてね」
「ふ〜ん?ユセスが帰るんならあたしももう用無いし、帰るわね」
「待って」
「へ?」
「アーチェ?あなたは今日ここで何も見なかった」
「は?な、何が?」
「何も見なかった。そうよね?受付裏の状態なんか見てないわよね?」
リフィルさんから出ているオーラが何か禍々しい・・・。
どうやら口止めをしているらしい。でも、今の状況ならまだ平気じゃないかな。
最初は書類で波が起こってたわけだし。
「むー、わかったから!あたしがそんな信用無いってワケ?」
「念のため、です。二人とも気をつけて」
『はーい』
「ユセスー?」
「何?」
「・・・やっぱ、何でもないわ」
帰り道をアーチェと並んで歩いた。その状況下、アーチェは僕に何か問いかけようとして止めてしまった。
「何?気になるじゃん」
「んー・・・。あんたさ、やっぱり何か隠してるでしょ?」
「何を?」
「あたしがそれを聞いてんの!質問を質問で返すなって教わらなかった?」
「あークラトスがそんなこと言ってた気がする」
「折角心配してやってんのにー!!もー・・・いいわよーだ。じゃね!」
「じゃ」
アーチェはホウキに跨って家の方へ飛んでいった。
「あー・・・アーチェ、怒っちゃったかな?」
怒らせるくらいなら、悩みたくない。もう振り切ってしまいたい。こんな下らない悩み、捨てられるものなら放棄してしまいたい。でも、傷跡が無くならない限りそれは無理だ。それに、最近数日でウィダーシンが僕を消しに来る夢を何度も見ている。下らない悩みが、少しずつでも着実に染み込んで離れなくなり始めていた。
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