第4話。
「過失」です。
やっと展開が・・・動かせ・・・た?
何か長すぎて、次回に続く!!
になりました。
あと、終わったまんまなので、訂正必要なとこがあってもやってません!!
(問題)
そりでは本編を続きからどうぞ。
いつになったら、あらすじで書いた部分になるのやら・・・。
第4話「過失」
another side(チェスター)
「それじゃ、お前らは先に森に入ってろよ。ちょっと、俺は家の方に矢筒置いてきちまったからさ、取りに行って来る」
「へ?何か、珍しいな。チェスターが忘れ物なんて」
「そうだね。矢筒、いつも持ち歩くわけじゃ無いの?」
「今日はたまたまな」
そう言ってチェスターはその場から逆の方向へ歩き始めた。
本当は矢筒は宿屋で陣取っている場所の影に置いていた。でも、嘘を言った。後でもう一度取りに戻るつもりだ。狩りの前に行く必要のある場所があったからだ。最初、足取りは普段どおりだったが、徐々に力が抜けるようにゆっくりになっていった。
「・・・何で・・・何で、あいつは何も話そうとしないんだ・・・!!」
怒気の混じった声。気を抜けば何かに八つ当たりでもしかねないほど、怒りが溢れ満ちていた。チェスターの脳裏にはユセスの発した言葉とその時の表情が鮮明に浮かんでいた。言葉とは裏腹の声色とその表情に対しての怒りだった。
(様子がおかしくなってたのはいつからだ?カノンノ達と別れたことに何か関係あるのか・・・?それとも、ウィダーシンって奴と決着した時に何かあった・・・?くそっ!!泣きそうな顔して何がなんでも無いだ!!?)
半年前からユセスの様子がおかしいことは何となくわかっていた。それでも放っておいたのは本気で悩む様なことなら、いずれユセスの方から何か話して来るだろうと踏んでいたからだ。でも、まさかこんなに時間が経つまで何も言ってこないとは思いもしなかった。おかげで一度は自分の勘違いかと疑ってしまうほどであった。
ふと、そんなことを考えていたチェスターの足はギルドへ向かっていた。最初からそのつもりだった。ドアを少し乱暴に開けると、すぐさま大声を上げた。
「リフィル!居るか?」
「ここに居るわ。そんなに大きな声でなくとも聞こえていてよ」
リフィルは受付の位置にいつもどおりに立って、いつもどおりに書類の記入をしていた。
現在リーダー代理をしている彼女がそこから居なくならなければならないような事態は起こっていない。一応平穏な証だ。
「な、あんた確かユセスと一緒にウィダーシンを倒したんだったよな?」
「いきなり何です?・・・・・ユセスのこと、ね。ユセスから何も聞かなかった・・・いえ、聞けなかったのね?」
「ああ、そうさ。俺はあいつの力になってやりたい。悩みがあるなら解決してやりたい。だが何故かは知らねえが、あいつは俺らに何を思いつめてんだか話もしない。そんなに俺たちが信用ならないって言うのか!?」
「残念だけど行動がそう言っているわ。本人が自覚しているかどうかは知らないけれど、私達にあからさまに何かあるのを隠していると言うのはそういうことだから」
「な!?・・・・教えてくれ。俺のどこが一体信用できないんだ・・・?」
「・・・ハァ・・・それはユセスに聞いてごらんなさいな。私達を信用していないのはユセスなのだから。その前にあなた自身にユセスの信頼を得られなくなってしまうような、何かをした覚えは無いのかしら?例えば『妹を思うばかりについ感情的になって迷惑なことをした』とか」
「確かに半年前はそうだったさ・・・。けど、もう半年前のことだぞ!!今の俺は違う!」
「それを言って、本当にユセスが信用してくれるかはわからないわ。信用を得たいなら行動で示しなさい。ただ、今のユセスでは可能性は低いわ」
「?」
「あの子自身にも問題があるのよ。あの子が自分で気付ければいいのだけれど。
・・・話が脱線しすぎたわね。何かを聞きに来たんじゃないの?」
「ああ、そうだったな・・・。さっきも言ったが、あんたはウィダーシンとやらと戦ったんだよな?」
「ええ、そうよ」
「その時にユセスに変わった様子は無かったのか?半年前って言ったらそのくらいしか思いつかないんだ。悩みの原因が分かれば、俺たちが解決してやれるかと思ったんだが」
「あれこれ推測するよりは、ユセスの信用を得てさっさと悩みを教えて貰う方が合理的じゃない?たぶん原因が分かったところで、彼に追求しても何も言わないと思うわ」
「う、確かに・・・。とにかく、今は行動するしかないってことか・・・」
「そうなさい。でも、無理にやっては駄目よ。余計に心を閉じられたら元もこうもなくなってしまいますから」
「わかった。何か済まなかったな・・・。あいつを助けてやろうってだけで頭の中がごちゃごちゃになってたみたいだ。けど整理がついた」
「どういたしまして」
「・・・うげ、ユセスとリッドを待たせすぎたな・・・。ちょっと話すだけのつもりだったのに・・・」
「早く行ってあげなさい。余計な不信感を抱かれては困るだけよ」
「ああ、じゃあな。っと・・・」
入り口のドアに手を掛けるとチェスターが引くより早くドアが押された。
「あ、ごめんなさい!」
「いや、こっちこそ。客なら入って・・・!!」
チェスターの動きが止まる。その様子を訝しんだリフィルは尋ねた。
「チェスター。お客様なら入っていただいて。そのまま立たれていたんじゃ邪魔になるわ」
「あ、ああ・・・」
チェスターは来客を導くようにドアを引いた。客が足を踏み入れるとリフィルの表情に若干の驚きが混じった。
「あなた達・・・?」
「お久しぶりです!!」
「やぁ、チェスター、リフィル!!オイラ達のこと忘れなかった?」
main side(ユセス)
「おせーなぁ、チェスターの奴・・・・」
「そうだね・・・」
僕とリッドは狩りに入る約束になっている森の前で、30回目になるこの会話を続けていた。
「何で来ねーんだろうなー?」
「さあ・・・?」
この言葉も30回目だ。これだけを話してはしばらく沈黙し、また同じ言葉を繰り返していた。リッドはこう言う割には気が長い方だ。実際、何度も合間合間で空を見上げてはぼーっとしており、その途中でふとまだチェスターが来ないことを気付くといったことを何度も行っているからだ。心の内では、日が暮れてしまうまでに獲物が狩れればいい、くらいの気持ちなのかもしれない。ちなみに僕も長い時間待たされるのは結構平気な方だ。手にした小剣で地面をざくざくと掘ってみたり、リッドと同じように時々空を見てみたり。ただし、同じことをし続けるのは苦手なので、ころころと暇つぶしの手段が変わる。
「・・・さすがにちょっと遅くないか?いっそ森に入っちまうか?」
「うーん、そうだね。それならこうしよう」
「?」
ナイフを使って地面に文字を書き残した。
『チェスターへ
リッドと僕は先に狩りに行きました。
先に獲物を仕留めちゃうよ』
「ふーん、いいんじゃないか。これなら、チェスターもこれ見て入ってくるかもな」
「よし、魔物退治へ出発!」
「いや、狩りだって・・・。倒しっぱなしじゃねえから。ところで、ユセス。
お前、武器はそんな小っこい剣だけか?」
「・・・グラディウス(小剣)だね。これでも、立派な武器だよ」
「ちょっと頼り無いけど、まあいいか・・・」
リッドの言うとおりに茂みの中を、息を潜めるように辿っていった。肌を掠めていく葉は軽く、くすぐったかった。
『時間があんまり無くなって来ちまったから、先にこっちの方に行くからな。実は数日前に狩用の仕掛けを設置してあるんだ。今日は仕掛けに掛かってる奴をそのまま持って帰るか、まだ掛かって無いようだったら改めて狩りに出る。いいか?』
『掛かってたら、すごくつまらないね』
『そう言うなって。仕掛けの方は保険だよ。もし獲物が捕まらなくて食いっぱぐれるより益しだろ?本当なら、チェスターがもっと早く来れば、ちゃんといつも通りに暴れられてたんだけどな』
『・・・。何かごめん』
『?別に謝ることじゃねえよ。ん?そろそろ仕掛けのあったとこに出るぞ』
『うん』
少し空間の開けた場所に出た。地面は少々荒れており、明らかに人の手で弄られた雰囲気だった。そこには、一匹の獣がロープの繋がった小さな檻に閉じ込められて慌てていた。
『ウルフだな。珍しいな?ウルフなんてここじゃあまり見かけないのに』
『ウルフの肉って食べられるの?』
『一応な。チェスターに言わせると味はボアほどじゃないってさ。腹に入っちまえば同じだと思うんだけどな』
『それにしても仕掛けが古典的だね。昔ながらって感じ』
『昔ながらをバカにすんなよ。これが意外と確実に捕まるんだよ』
『そういうもんなんだ。ところで、あれどうするの?』
『まだ、動く元気があるからな。出してから息の根を止める』
『分かった。手貸すよ』
『行くぜ!』
僕とリッドは檻を必死に食い破ろうとしているウルフの前に姿を見せた。ウルフの意識は一気にこちらに集中する。
「ウオオォォォォーン!!!!!フウゥゥゥウウゥ・・・・」
「悪いな。今日の晩飯になってもらうぜ」
「あからさまだね・・・。でも、食べ物が無いのは辛いからね」
ウルフの臨戦態勢に合わせてこっちも身構える。
「じゃ、出すぜ?」
「いつでも」
リッドは檻に掛かっている錠前を切った。反射的にウルフが飛び出して来る・・・はずだった。なぜかウルフはそのまま、大人しくしていた。
「あれ?何だ、こいつ・・・。拍子抜けだな」
「?・・・待って!!何かまずいよ!」
「何が・・・?・・・!?」
辺りに急に気配が増して来ている。少し遠くから早足で駆けて来る、獣の呼吸が聞こえ始めていた。一匹、また一匹とウルフが現れる。気付けば十数頭程度に四方を包囲される形となった。フシュゥと荒い息遣いが重なり続ける。
「さっきの吠えたのは仲間を呼んでたのか!?」
「そうらしいね。罠に掛かったのは僕達の方みたいだよ」
「いつもと逆の状況か・・・。あーあ、いつもならとっくに肉、捌いてるんだけどな」
「まあ、それはこの際しょうがないとして、今はこの状況を何とかしよう?」
「りょーかい。じゃそっち側は任せたぜ」
「ん。任された」
リッドは反対側の群れに向かって駆け出して行った。
「さて、こっちも行くよ」
ウルフ達側に向き直ると、小剣を構えた。
「正直、この武器じゃ乱戦に向いてないけど、贅沢は言えないね」
一匹がこちらに向かって突進してきた。それは実に単純明快な目的で、人間の弱点である喉笛を狙って行われるものだ。いきなり急所を狙って来る相手には冷静な対処で臨む。素早く深呼吸を行い、相手との距離を見計らって横に避け、その際に顔の横に小剣を一筋走らせた。ぎりぎりと切り裂かれた皮から鮮血が舞い、尾を引いた。その個体は力を失ったように地面に転げ、苦しそうに呻き声を上げた。次の個体が怯む様子も見せず、同じように飛び掛ってくる。眼前に迫る前後で相手の腹を蹴り上げ、そのまま後方へ飛ばし、様子を伺っているらしい別の個体に向けて技を放つ。
「蒼波刃!!」
青く輝きを帯びた真空波が辺りの空気を切り裂いて、敵に着弾する。すると、視界ぎりぎりの辺りから新たな個体が飛び出し、小剣を真横に咥えさせるような形で防御した。ウルフの顎の力は強固なもので、牙によって剣がそれ以上奥に入らないように押さえつけられている。集中している間にもう一匹が現れ、今度は振り返りざまに頭部からを蹴り落とした。キャンキャンと犬のような鳴き声を上げると、しばらくその場でのたうち回った。向き直ると唯一の武器が折られては困るので、咥えられている小剣を無理やり引っ張りぬいた。その個体は一度距離を取り、もう一度対峙する形を取った。
「しぶといな。ウルフなんかにこんな苦労させられるとは思わなかったけど・・・」
静かに相手が動くのを待った。ウルフは動きが素早い。こういった魔物は無理には動かず、攻撃の瞬間を見定める必要がある。しばらくウルフはこちらを見据えながら、右へ左へと往復し続けていた。攻撃のタイミングを測っているようだ。たぶん、今の状態のまま隙を見せないでいれば、こいつはいつまで経っても攻撃してこないだろう。耐久戦にさせられてしまうのはこちらとしても不本意なので、攻めの姿勢に転じる。小剣を下げ、相手に向かって走り出す。その様子を見たウルフは距離を測って飛び掛ってきた。
(こいつだけ何か賢そうに見えたけど、やっぱ同じだったみたい・・・)
まだそれほど距離を縮めない内に、爆薬の詰まった瓶を投げた。地面にぶつかってわずかに火花が生まれた途端、ウルフを中心に小範囲で爆発が起きた。その爆発に巻き込まれたウルフは立ち込める煙に視界を奪われることになった。外から見ると、ウルフの目が非常にはっきりと見えており、相手の気付かない間に息の根を止めた。
「さて、まだ居るんだよね?はぁ・・・本当にしつこいな」
その場には次々とウルフの死骸がばら撒かれたように広がっていった。そして敵の体を切り裂く感覚に吐き気を感じつつも、それ以上には何も思わない自分に対して、悲哀の感情を覚えた。
「・・・・・・・・」
最後と思われる個体の死を確認し、肩で息をしたまま滴り落ちる汗を拭った。やっぱり小剣なんかで、多くの敵を切り伏せるには時間が掛かる。
(何で、これにしたんだっけな・・・?)
チェスター達に誘われた後、特に装備を改め直す必要性を感じなかったのでそのまま訪れてしまったが、ここに来てそれが少し堪えたようだった。
(・・・ウルフなんてそんなに大変な相手じゃないと思ってたんだけどな)
たぶん、それは一体一体を相手にした場合の話で、何体も同時に襲ってきた時とは状況が違う。少し気をつけたほうがいいかなと思いつつも、この周辺に現れる魔物はそれほど強いものは居ないし、これでも平気かなとどこか甘えが混じったような感覚になっていた。
「ふぅ・・・リッドと合流できるまで、ちょっと休むか・・・」
その場に腰を下ろし、一息ついた。リッドはほとんどの個体を倒していたが、何体かが怯えて逃げてしまったらしく、近くに残っているものがいないかどうか探しに行った。それで付近の安全が確認できたら、倒したものの何体かを持って町に戻ることに決めている。
「こいつらが晩ごはん・・・か」
リッドはそう言っていた。リッドならここの奴の5,6体は平気で食べてしまいそうだ。そういえば、こいつらは普段何を食べていたんだろう?ウルフといえば、肉食だし森の中のウサギでも食べていたんだろうか?
「さっきまではちゃんと生きてたのにな・・・」
本当に自分勝手な理由で殺した。食べるため。自分達が生きるため。でも、たぶんこいつらが僕達を罠にかけたのも同じ理由だろう。あわよくば、僕らを晩ご飯にするため。悪いけどそれだけはごめんだ。
「・・・・・・。今までもたくさん殺した・・・。それで良かったのかな?」
たぶん良いとか悪いとかじゃなくて、僕が生きるという目的のために殺している。生きるという目的に即した場合、そこに善悪なんて概念は通用しない。目的を全うしなければ、自分が居なくなってしまうから。それだけは嫌だ。だから、結果的にこいつらに対する同情も意味を成さなくなる。それでも同情してしまう。だって、僕らと同じように生きていたのに・・・!!
ガリッッッ
「・・・があ・・・ぅ・・・!!」
肩に訪れた熱を持った激痛と共に意識が途切れた。
また、いつものように考えに耽ってしまった。いつものように。いつものように。
でも、場所はいつもの所ではない。
悠長に考え事をしていられるほど安全な場所では無かった。
ここは獣達の住む森。
忘れてはいけなかった・・・。
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